はてブのホットエントリは集合知とは無関係

最近、集合知としてのはてブについて改めて考えてました。


集合知とは、「適切な状況の下では、人々の集団は、その中で最も優れた個人よりも優れた判断を下すことができる」ということです。
そして適切な条件とは、

  • 多様性
  • 独立性
  • 分散性
  • 集約システム

です。
(参考:Wisdom of crowds - My Life Between Silicon Valley and Japan)


多様性の観点では、はてブのユーザは実に多様だと思います。
それぞれ興味のある分野はもちろん、記事をブクマする際のポリシーも各ユーザで異なるでしょう。


次に、一つ飛ばして分散性です。
そもそもインターネット自体、分散している拠点やユーザを相互に繋いでいるものですし、その意味で、はてブは分散性を確保していると言えるでしょう。


そして集約システム。
言わずもがな、これははてブそのものですね。
分散しているユーザをはてブが統合しているイメージです。


最後に独立性。
どうしてこれを最後に持ってきたかといえば、それははてブにおける独立性に猜疑的な部分があると考えるからで、そのことを詳しく見ていきたいからです。


まず高い独立性とは、個人の意思決定にその個人以外の他の要因がほとんど介在していない状態、だと思います。
はてブにおける独立性とは、個々のユーザがネットサーフィンをしている過程で見つけた面白い記事を、各自で独立にブクマしていく、ということでしょう。
その結果として、注目エントリが生成されていきます。


しかし、ブクマする過程は当然他にも考えられます
その一つが、ホットエントリなのではないかと思います。
注目エントリやホットエントリで話題になっている記事を見て、同じ記事をブクマするユーザは多いでしょう。


でも、そのブクマには独立性はほとんどありません。
何故なら、他人が良いと勧めているものを、あたかも自分の意思でブクマしているかのように振舞っているに過ぎないからです。
(その意味で、アルファクリッパーなるユーザをはてブのお気に入りに入れて、彼らのブクマした記事をブクマしていく方法にも同様の事が言えますが、ここでは触れません。)


そう考えると、集合知として生成される情報というのは、実は各自が独立してブクマすることで生成される注目エントリまでで、その注目エントリを多数のユーザがブクマしてホットエントリにする過程はただの多数決に過ぎず、ホットエントリは集合知とは無関係なのではないか、と思えてくるのです。


集合知の考えに従えば、先の条件が満たされた場合「個々のメンバーが正解を知っていなくても、また合理的では必ずしもなかったとしても、グループのほうがよい」ことになります。
はてブの場合の「正解」が何であるかということは一概には言えないですが、恐らく「ネットにおいて今一番ホットな話題」ではないかと思います。


しかし、はてブのホットエントリを眺めていると、時々「なんでこの記事がネットでホットなものとして扱われているんだろう?」と思うような記事を目にすることがありました。
その答えも、ホットエントリが集合知とは無関係だと考えると、なんとなく合点がいきます。


独立性の条件が満たされていない(と考えられる)ホットエントリは集合知とは無関係であり、ただのはてブユーザによる人気投票なのだなと。
だから、ホットエントリは優れた「正解」を導き出す事が出来ず、「ネット上のホットな話題」とのズレを感じるときがあるのだなと。
そして結局、その「正解」に関しては、集団内で最も優れた個人(アルファな方々)の出す解が「正解」になるのだなと。


今のところ「だから何なの?」という所までは考えていませんが、
なんとなく上記のような結論に達したので、稚拙ながら纏めてみました。