四度目の氷河期

starocker2006-11-11

四度目の氷河期

四度目の氷河期

フツーなんかじゃ、この世界を生き抜けない。著者初の感動青春小説。

ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした--何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは、ある日、死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。その瞬間から、ワタルの孤独なサバイバルゲームが始まった。「自分」を生きるため、本当に大切なことって何? 『明日の記憶』の著者が描いた、今ここにいることの奇跡。17年と11カ月の物語。

物心ついたときから父親の居なかったワタル。
成長するにつれ、自分が周囲の人間とは違っていることに気づき始める。髪や瞳の色、顔の形などの外見から内面まで。
そして母親の仕事=遺伝子の研究と自身のこととを照らし合わせるうちに、彼は自分の父親が誰で、自分が何者であるかを発見する。
自分はクロマニヨン人の子供であることを。


奇抜な設定ではあるが、内容としては一人の少年の成長期だ。
母一人子一人の生活は決して楽とは言えない。様々な苦労やトラブルに巻き込まれるわけだが、母親や子供時代に知り合ったサチ、そして何より「自分はクロマニヨン人の子供なんだ」というアイデンティティを支えにしてワタルは生きていく。
途中、心を刺すような悲しさに見舞われるけど、物語終盤の展開とラストの極限の中でワタルは「答え」を自分なりに見つける。
それが何の答えなのかは上手く表せないけど、きっとワタルはその答えももっと昔から知っていたんじゃないかな。
知っていたけど気付かなかった、上手く言えないけどそんな感じがした。
450ページとボリュームは大きいが、中だるみすることなくテンポ良く読めた。面白く、感動の一冊。