怖い絵

怖い絵

怖い絵

心の底からゾッとする名画の見方、教えます。

何も怖いものは描かれていないはずなのに、なぜかゾッとする――そんな絵はありませんか? 名作絵画に秘められた怨念、冷酷、非情の恐るべき物語を解きあかす美術エッセイ。

怖い絵

絵画を見る目が確実に変わってしまう一冊。


本書『怖い絵』は、誰もが一度は目にしたことのあるかもしれない名画たちの隠された「恐怖」をあぶり出すエッセイ集。
収録されている絵画は以下の20点。

作品1  ドガ『エトワール、または舞台の踊り子』
作品2  ティントレット『受胎告知』
作品3  ムンク『思春期』
作品4  クノップフ『見捨てられた街』
作品5  ブロンツィーノ『愛の寓意』
作品6  ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』
作品7  ルドン『キュクロプス
作品8  ボッティチェリ『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』
作品9  ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』
作品10 アルテミジア・ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』
作品11 ホルバイン『ヘンリー八世像』
作品12 ベーコン『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』
作品13 ホガース『グラハム家の子どもたち』
作品14 ダヴィッド『マリー・アントワネット最後の肖像』
作品15 グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』
作品16 ジョルジョーネ『老婆の肖像』
作品17 レーピン『イワン雷帝とその息子』
作品18 コレッジョ『ガニュメデスの誘拐』
作品19 ジェリコー『メデュース号の筏』
作品20 ラ・トゥール『いかさま師』

作品の中には『我が子を喰らうサトゥルヌス』のように見るものに直接的な恐怖を与えるものをあるが、筆者が特に伝えたいことは

これまで恐怖と全く無縁と思われていた作品が、思いもよらない怖さを忍ばせているという驚きと知的興奮である。(p.9)


個人的に印象深かったのはルドンの『キュクロプス』。
Redon
ギリシャ神話を題材とした作品。岩場に横たわる海のニンフ、ガラテア。それを覗き込む単眼の巨人ポリュフェモス。
絵の色合いに暗さはない。パステルカラーの明るさがむしろ目立つ。
しかし、この絵を見ていると何かしら不安のような感情を抱くとともに、どこか悲しげな巨人の表情に哀愁の念を感じてしまう。
この絵の何が、この絵を生み出した作者のどんな想いが、そのような複雑な感情を起こさせるのだろう?


本書に収録されている作品一覧に見覚えのある作品があるのなら、ぜひその絵の恐ろしい一面を覗いてみてはいかが。