毒のいきもの

毒のいきもの

毒のいきもの

普通の芸人さんよりも、ちょっと毒のある芸人さんの方が面白く感じることは少なくないと思う。
人は「恐いもの見たさ」のようにちょっと危険なものに惹かれる習性を持っているかな。
本書『毒のいきもの』は人間以外で毒のある生き物を65種類紹介。
実際に人間が彼らと対峙した際にどんな危険性があるか(触ると危険なのか、咬まれると危険なのか等)、その毒の強さはどの程度なのかを愉快に説明してくれる。


毒の生き物として、本書では陸上の生き物、水中の生き物、昆虫、植物に大別している。
陸上では何といっても蛇、ヘビ、へびである。
ヘビの中でも知名度・危険度ともにトップなのはやはりキングコブラだろう。
毒そのものの強さで比較するとキングコブラよりも強烈や毒を持つヘビは意外と多いらしいが、彼がトップたる所以は一咬みで注入される毒の量がハンパないからなのだそう。
その量は象をも倒すほどで、人が咬まれればまあまず助からない、はずなのだが、本書によればキングコブラに咬まれでも死ななかっただけではなく、咬んだキングコブラの方がなぜか死んでしまったという不思議な僧侶の事例がインドにはあるそうな。

不思議な話だが、これにより、「キングコブラは象より強い。僧侶はキングコブラより強い。ゆえに僧侶は象より強い」ことが証明された。インド人もさぞやびっくりしたことであろう。(p.58)

ジョジョ第6部で登場したフキヤガエル(モウドクフキヤガエル)も出てくる。
毒の危険度はMAX。このカエルの持つ毒の致死量は、成人で0.1ミリグラム。このカエル一匹で190人を死に至らしめるほどの毒を持っているとのこと。ハンパない。。あのシーンは危うく第6部完となるところだったようだ。


植物では「赤いスイートピー」でも有名なスイートピーに毒があることは知らなかった。
スイートピーの毒は頸椎麻痺を引き起こし、その麻痺は一生残ってしまうらしい。。観賞用として部屋に飾っている方は取り扱い注意。
また梅干しの材料であるアオウメ(熟していない青いやつ)にも毒がある。その毒素は青酸カリの毒素と同じものとのこと。梅干しや梅酒に入っている梅は毒性が失われているため食べても大丈夫だけど、種の中身(「天神様」という部位)は食べない方がいいらしい。周りで種を割ってる人を見かけたら注意した方が良さそうだ。


有毒な動植物はその形態やライフスタイル等々興味深い点が多い。でもなるべくなら離れて眺めるに越したことはなさそうだ。