眼の誕生―カンブリア紀大進化の謎を解く

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

40億年前に誕生した生命は、34億年もの時をかけて、
よやくクラゲやカイメンに進化した。
だが5億4300万年前、生物は突如として爆発的に進化し、
わずか500万年で多様な形態をもつにいたった。
一体なぜ、生物は爆発的に進化したのか?

本書の帯より。
5億4300万年前に起こった『カンブリア紀の爆発』と呼ばれる生物進化史上最大の出来事の謎を解く、一種のミステリー小説のような内容でした。

そう、この物語は、科学的犯罪捜査として語るにふさわしい話題なのだ。
したがって本書はおのずと探偵小説の構成をとることになった。

進化史のミステリーに挑むため、筆者は化石調査などの詳細なデータをもとにして、ミステリーの外堀を埋めていく。
その過程で筆者が常に重要視しているのが『光』。そして『眼』。


すべての『証拠』が出揃った所で、最後の2章で探偵小説のように『犯人探し』が行われる。
『みなさんにお集り頂いたのは他でもありません。』
『は、犯人が分かったのかね!?』
『はい。そして犯人は、そう、この中にいます!』
みたいな描写は一切出てきませんが、第9章で進化の爆発の謎が解ける過程はまさにこんな印象でした。
その『犯人』は実にシンプルで、筆者の学説を新聞紙が紹介する際に、新聞社の編集長に『本当にこれは新説なんだろうな?』と確認されたほど。
だからこそ、今まで誰も指摘してこなかったこの学説は『眼から鱗』なわけです。
この『カンブリア紀の爆発』の現代版が、様々な産業分野で起こってきた『破壊的イノベーション』なのかなと思いました。