バズ・マーケティング - クチコミで注目を確実に集める6つの秘訣

バズ・マーケティング

本書はバズ、つまりクチコミによる宣伝についての物語だ。
なんでもクチコミはこの世で最強のマーケティング手法であり、テレビや活字広告に比べて10倍も効果的なのだそう。
10倍という数字はかなり凄いが、それほど効果的な手法にもかかわらず、バズ・マーケティングを始める方法を知っている人はほとんどいないのではないか。
この本は数々のバズを手がけてきた著者の豊富な経験談を基に、バズ・マーケティングを成功させるための秘訣を伝授してくれるものだ。

まず、バズ・マーケティングの定義は次のようになる。

バズ・マーケティングとは、あなたのブランドや会社について話題にすることが楽しく、魅力的で、報道価値のあることになるまで、消費者とマスコミの注意を引くこと

例えば、今はAppleやGoogleが上手くバズを実践していると思う。私たちはAppleの新製品やGoogleの新サービスをリリースする(した)とき、それらについて自ら率先してまわりの人達と話をすることが多いと思う。私も気付くと実に楽しげに誰かと新しいiPodについて話をしていた、なんてことはしょっちゅうあった気がする。見事にバズに参加してたようだ。

バズの6つの秘訣とは以下の通り。

• 第一の秘訣：バズの六つのボタンを押す
• 第二の秘訣：マスコミの注目を集める
• 第三の秘訣：確実に注目を集める広告を打つ
• 第四の秘訣：誰も成しえなかったことに挑戦する
• 第五の秘訣：独創性を見出す
• 第六の秘訣：製品をきちんと管理する

各秘訣の詳細についてはぜひ本書参照して頂きたく。

この本の面白いところは、単なるマーケティング手法の指南書というわけではなく、各秘訣や章が様々なサクセスストーリーで構成されている点。
各秘訣の説明では、著者が実際に行ったバズ・マーケティングの成功秘話や他の企業が行ったバズ・マーケティングを基にして書かれていて実に読み応えがある。
いかにバズ・マーケティングが従来の宣伝方法と比べて「異端」であるか、そしてそれを成し得るためにどれほどの努力が必要であるか、各章の話を読んでいるとある種の自己啓発本としても売れるんじゃないかなと思えてきた。

最後に著者は言う。

バズの秘訣自体は論理的だ。バズで一番難しいのは、その論理的な枠組みに当てはめる独創的なアイデアを生みだすところだ。・・・(中略)。実行には、勇気と、やる気と、信念と、努力が必要だ。

バズ・マーケティングのような広告の仕事に関わる人は限られてるかもしれない。
しかし、この本に込められている仕事に対する熱い姿勢は、きっとあらゆる人を鼓舞させると思う。