中庭の出来事

中庭の出来事

中庭の出来事

謎が謎を呼ぶ物語の輪舞。まず読者が解くべきは、小説内で何が起こっているのか?


瀟洒なホテルの中庭。こぢんまりとしたティー・パーティの席上で、気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。周りにいたのは、次の芝居のヒロイン候補たち。自殺、それとも他殺? 犯人は誰? それとも、これもお芝居? 互いに交錯し、乱舞するスレ違う場面。本領発揮! 眩暈がするほど悩ましい、恩田ミステリ最新作。
中庭の出来事 - 新潮社

眩暈がした。
本作、一応はミステリに分類されるものだろうが、その一言でカテゴライズしてしまって良いものかとも思う。
作者自信も、どの範疇の作品なのか決めかねているようだ。[参考] http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/397107.html


物語は二人の女性がとある中庭で会話する場面から始まる。ある男性の死についての話だ。
かと思うと、突然に場面は深い山の中に切り替わる。今度は若い男性と年配の男性との会話だ。どうやらどこかを目指して歩いているらしい。
そしてまた、場面は中庭に戻される。ただし、そこにいるのは脚本家と思しき男性だ。新しい劇を思案中、その男性の目の前で若い女性が、、、
と、ここで劇中劇『中庭の出来事』が挿入される。出演者は女優3名に男性1名。女優たちはある事件に関して尋問されているようだが、、、


と、これら4つの物語が入れ替わり立ち替わりしながら、最後には1つにまとまっていく。物語の展開には目が回った。
「現実」はホントに現実なのか、「劇中劇」こそが現実なのではないか、とか考えながら読んでると見事に作品に飲み込まれてしまった。
面白かったけど私的にはちょっと消化不良気味なので、あとでもう一度読み直してみよう。