片眼の猿 One‐eyed monkeys

片眼の猿 One‐eyed monkeys

片眼の猿 One‐eyed monkeys

騙しの大技・小技が炸裂! ミステリ界最注目の新鋭が繰り出す、超絶技巧。

俺は私立探偵。ちょっとした特技のため、業界では有名人だ。今はある産業スパイについての仕事をしている。地味だが報酬が破格なのだ。楽勝、と思いきや、いつの間にか殺人事件に巻き込まれてしまった??。サプライズ・マジシャン道尾秀介が周到に張り巡らす読書の罠。見逃すな! 仕掛けは至るところに潜んでいる。
http://www.shinchosha.co.jp/book/300332/

主人公・三梨は自分の特技を活かして探偵業を営んでいる。その特技とは「音」に関するものだ。
と、ここまでは本書の帯とカバーに書かれてあるけど、それ以上書くとネタバレとまではいかないけど本書を読む楽しみが失われかねないのでここでは書けない。。ミステリーの感想を書くのって難しい。。


タイトル「片眼の猿」とはある寓話のこと。
あるところに猿の国があった。その国の猿はすべて左目しかなかった。ところがある日、そこに両目を持った猿が産まれた―――
調べてみたらこの寓話は実際に存在するものらしい。(ひょっとして有名なんですかね?)
いくつかのバリエーションがあるみたいで、その中の一つを作品のテーマとして選ばれたということでしょうか。
寓話の中で猿が失ったもの、それはもしかしたら失わずにすんだのかもしれないけれど、寓話の中の猿にはそうするしかなかった。
どうすれば「片眼の猿」にならないかはとても難しいテーマだと思うし、それでも意識すべきことなのだと思いました。


以前に読んだ2作(「向日葵の咲かない夏」「シャドウ」)と比べるとホラー色は皆無ですけど、あちこちに散りばめられた伏線とパズルが合わさるような展開は今作でも存分に楽しめました。