はてな/ソーシャルブックマークについて考えた

以前、はてなブックマークはソーシャルブックマークとは違うのかな - sta la sta
というエントリで、はてブに関して直感的な考えを述べました。
あれから少し考え直して、ソーシャルブックマークはてブに関する自分の考えを整理してみました。

『ソーシャル』とは何ぞや?

まずソーシャル(=社会性)という言葉の持つ意味を調べました。

社会性
(1)集団をつくり他人とかかわって生活しようとする、人間の本能的性質・傾向。社交性。
〜goo辞典より〜

ソーシャルは『個』では実現できません。そこには必ず他者の介在があります。
その他者は何かしらの『集団』の一員であり、また自分も同じ『集団』に属すわけです。
この『集団』とは、

集団
(2)ある共通の目的をもち、相互に依存関係をもつ人の集まり。
〜goo辞典より〜

という意味です。ただ集まるだけの集団には社会性は無いと思います。
つまりソーシャルとは

  • 共通の目的をもつ人を集め、
  • その集団内の相互作用を可能とする

性質であると考えます。

ソーシャルブックマークにおける共通の目的

ソーシャルブックマークは、今まで個として保持していた情報(=ブックマーク)を他者と共有することを可能にしました。
この場合の目的は、効率的な情報収集でしょう。
ある事柄に関してブックマークする。そして他者も同じことを行っている(ハズ)。そうして蓄積された情報には、自分だけでは知りえなかった情報が多々あるはずです。
また、同じ事柄に関して複数人がブックマークすることで、現在注目されている情報を知ることができます。
この『効率的な情報収集を行いたい』という目的を持つ人が集まるのがソーシャルブックマークだと思います。
逆に効率的な情報収集を目的としないでソーシャルブックマークに足を踏み入れると、「このソーシャルブックマークを使って何をすればいいんだろう?」と戸惑うことになると思います。(私も初めてdel.icio.usを触ったときは何をすべきかサッパリ分からなくて、すぐに使用を止めてしまいました。)

ソーシャルブックマークにおける相互作用

単に個人のブックマークを公開するだけでは、他者との相互作用は図れません。そこでソーシャルブックマークでは『タグ』による相互作用を実現しました。
ソーシャルブックマークでは、ブックマークした記事に対して関連するキーワードをタグとして付与できます。音楽関係の記事なら『music』、ブログ関係なら『blog』といったタグが多いかと思います。
このタグ付けは他者も当然やってくれます。そうして同じタグを付けた記事によるクラスタが形成されていきます。音楽関係の情報を収集したければ、『music』タグを参照するだけで自分の知らない音楽関係の情報が目の前に広がるでしょう。
また同じ記事が複数人によってブックマークされることで、この記事が現在注目されていることが分かります。ブックマークしている人数が多ければ多いほど、注目度が高い記事なのでしょう。
どちらの相互作用も個人のブックマークだけでは出来ないことです。これらはソーシャルブックマークによって得られる効果です。

はてなブックマークの場合を考える

はてブにおける共通の目的を考えます。先に挙げた『効率的な情報収集』ははてブの目的の1つでしょう。
もう1つは、『効率的なはてな情報の収集』ではないかと考えてます。一口に『はてな情報』と言っても、それははてなの技術的な話題(仕様変更等)であったり、はてなダイアリーにおける流行・論争であったり、またははてな社員の近況であったりします。
そういったはてな情報を誰かがブックマークします。同じ情報を他の誰かがブックマークします。やがて注目のエントリーに上がってきます。そしてそのはてな情報をはてブに来た人たちが目にします。
そこには『はてなの情報を収集する人』と『はてなの情報を求める人』が存在しています。
それ故、はてなブックマークは『はてな』ブックマークという一面を持つのではないかと思います。
前のエントリでは『はてなブックマークソーシャルブックマークとは違う』という論調でしたが、そこは訂正します。
はてなブックマークは『ソーシャル』ブックマークであり、また『はてな』ブックマークでもある
といのが今の結論です。

はてブにおける懸念

ところで最近、はてブのエントリにつけられるタグが特殊化しているように思います。
アスキーアートや意味不明な単語がチラホラと見られます。
上で述べたようにタグとは本来他者との相互作用を図るために必要なものですが、そのような特殊化されたタグは、多くの場合、個人の使用のみ想定されているのではないかと思います。
意識・無意識的にしろ、他者との繋がりを拒絶するようなタグの使用は、はてブの持つ『ソーシャル』を失わせるのではないか
というのは考えすぎかな。