検索サービスの課題とソーシャルブックマーク

Web 2.0が検索サービスに突きつける課題 - CNET Japan
現在の(或いは将来の)検索サービスが直面している問題は以下のようになるそうだ。
まず、今日ではブログに代表されるConsumer Generated Media (CGM:消費者発信型の情報)が急速に広まっている。
それに伴い、インターネット上には膨大な情報が蓄積されるようになり、検索サービスとしては

  • 1000億ページにも及ぶ情報のインデックス化
  • 各情報に対するメタデータの扱い

が、今後問題になるだろうとのこと。
記事ではこれ以外にも興味深い話が書かれているが、ここではこの「検索サービスが直面する問題」のみをピックアップしたい。


こうした問題への一アプローチとして、ソーシャルブックマークがあるのではないかと思う。
まず、ソーシャルブックマークは言うまでも無くユーザ一人一人の手で情報が収集されている。
言わばConsumer Collected Media (CCM:消費者収集型の情報)といったところか。
このCCMの面白いところは、WWW上の全情報を収集するわけではなく個々のユーザによってフィルタリングされた情報のみが収集される点と、収集する際にタグというメタデータを付与する点。
これらの点を上手く利用すれば、先に挙げた「検索サービスが直面する問題」を解決可能ではないだろうか。
解決可能、というのは、検索サービスが直面し得る問題を、ソーシャルブックマークは華麗にスルー可能ではないか、といった意味合い。
そのためには、我々ユーザは気になった情報をじゃんじゃんソーシャルブックマークへ格納し、なおかつタグ付けもせっせと行う必要がある。
タグ付けに関しては、はてブの仕様変更を受けてはてブの仕様変更に伴うタグの活用方法 - sta la staというエントリを書いたが、せっかく10個も設定可能なのだから、今までどおり+αくらいの工夫があってもいいのではないかと思う。


実際、ソーシャルブックマークが検索サービスとして機能するためにはどの程度の情報が格納されなければならないのか。
例えば、あなたがGoogleで何かを探すとき、得られた結果をどの程度まで参照するだろうか。
私の場合、結果を100件表示にしたとして、多くてもせいぜい10ページ(=1000件)くらいしか参照しない。
実際のところ、知りたい情報はだいたい3〜5ページ(=300〜500件)くらいで得られると思う。
つまり、ソーシャルブックマークで同じ情報を検索した場合に、その300〜500件の情報のみが検索結果として出るくらいでちょうど良いのではないか。
あくまでも私個人の目安だが、実際の検索サービスの使用感は参考になると思う。


あとは見せ方の問題。
過去のエントリでも何度か言ってきたことだが*1ソーシャルブックマークは情報の見せ方次第で何にでもなれるような気がする。
今のはてブはニュースサイト的意味合いが強いが、検索サービスと同等の見せ方も可能だろうし、極論、情報の見せ方は個々のユーザに選択させることも出来るだろう。
Google Personalized Homepageが良い例かもしれない。
あとCNET記事中の

MicrosoftのDerrick Connell氏はCJICの講演で、「これからユーザーは自分の体験をもっと自由にコントロールしたいと思うようになる」と強調していました(関連記事)。


 その主張は正しいと思います。ただし、ユーザーは常に自分ができることよりも多くを望んでいるということにも注意を払うべきでしょう。

 もっともいい例が、検索サービスの検索オプション(高度な検索)機能です。実際に検索でこうした機能を利用する人は全体の1〜2%に過ぎません。しかし、ユーザーに「この機能が欲しいですか」と尋ねると、驚いたことに40〜50%の人々が「YES」と答えるのです。

 本当に大事なのはユーザーが要求する機能をただ盛り込むのではなく、ユーザーが使える形で用意することにあると思っています。例えば、検索オプションが望まれているからといって、20個の入力欄からなる難しそうな検索オプションページを用意するよりも、もしかしたら検索欄は従来通り1つで、そこに入れた質問に対してより高度な回答をすることのほうをユーザーは望んでいるのかもしれません。

という話ももっともだと思う。
兎にも角にも、はてブの5年後、10年後が楽しみだ。

*1:これとかこれとか