首無の如き祟るもの

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)

奥多摩に代々続く秘守家の「婚舎の集い」。
二十三歳になった当主の長男・長寿郎が、三人の花嫁候補のなかからひとりを選ぶ儀式である。
その儀式の最中、候補のひとりが首無し死体で発見された。
犯人は現場から消えた長寿郎なのか? 
しかし逃げた形跡はどこにも見つからない。
一族の跡目争いもからんで混乱が続くなか、そこへ第二、第三の犠牲者が、
いずれも首無し死体で見つかる。
古く伝わる淡首様の祟りなのか、
それとも十年前に井戸に打ち棄てられて死んでいた長寿郎の双子の妹の怨念なのか──。

http://www.harashobo.co.jp/mystery/digest/kubinashi.htm

めっさ面白かった。2007年に読んだ小説の中で間違いなくトップ3に入ると言っても過言ではないと思いました。
民俗ホラーと本格ミステリの見事な融合ですね。


戦中と戦後に起こった二つの奇怪な殺人事件。その屍体に共通なのは、いずれも首無しであったこと。
本書は、当時その二つの事件を担当していた駐在所の警官の妻であり小説家でもある高屋敷妙子が纏めた連載小説、という体を成している。実は二つの事件ともに未解決のままであり、この連載を通じて事件の真相と犯人に迫りたい、というのが目的の一つだ。
そのためまず真っ先に「この妻こそが犯人なのでは?」と疑ったりもしたが、

本稿が〈私=高屋敷妙子〉の一人称を取らなかったことを鑑み、そこから実は一連の事件の真犯人が私自身ではないのかと疑われるのは、完全な徒労であり間違いでありますと、老婆心ながら最初にお知らせしておきます。(p.18)

と、いきなり釘を刺されてしまった。。


この「小説の中で展開される『小説』」という形式のおかげで、淡々と状況を述べるよりも臨場感とタメに溢れた物語となっている。凄く引き込まれた。
さて肝心の事件の方は、一種の密室(密山?)の中での首切り殺人を主軸に、物語が進むにつれて徐々に犯人が絞れてくるかと思いきや、逆に謎が出てくる出てくる。。
ホントに最後の最後の最後(の最後?)まで目が離せないお話でした。
これはぜひとも著者の他の作品を読まねば。(本書はシリーズ物の3作品目に当たるそうです)