無断リンク賛成/反対派は、議論のレイヤーが違うがために歩み寄れない

無断リンクは禁止です!」と言う人は、多くの場合それを「マナー」の問題だと捉えています。
また「リンクは自由だ!」と言う人は、多くの場合それを「技術」の問題だと捉えています。
両者は明らかに議論のレイヤーが異なっています。
イメージ的には「技術」が下位レイヤーで、その上位に「マナー」というレイヤーが存在すると思います。
レイヤーが違うと言うことは、両者の使用するプロトコルが違うと考えてよいかもしれません。
当然、プロトコルが異なれば、両者は互いにお話ができません。
そのことが、両者の歩み寄りを長い間妨げている要因の一つではないかと思います。


ちょっと前に、長野県の図書館の入り口に「(お願い)悪臭の苦情が多いので 衣服を清潔に!」の張り紙をしたところ、市民らから「人権問題ではないか」と指摘があり、結局その図書館は張り紙を撤去した、という事例がありました。
これも、図書館側は「図書館では周りに迷惑をかけてはならない」という「マナー」の話をしているのに対して、
講義している人たちは「人権問題だ!」と「憲法(基本的人権?)」の話をしているために、議論としてはすれ違っているのではないかと感じました。
この場合は「憲法」が下位レイヤーでその上位に「マナー」が存在するイメージです。


ちょっと脱線しますが、大阪の友人に聞いた話でこれとよく似た事例があります。
その友人は大阪のある図書館へ通っていたそうですが、その図書館の新聞コーナーやソファのあるロビーは浮浪者(と思しき)人たちの溜まり場になっていたそうです。
友人曰く、彼らの体臭のために「夏場はホンマに耐えられへんかった」そうです。
そして、いつ日か友人はその図書館へ通うことをやめました。
その後、その図書館は潰れたそうです。
その原因は悪臭のためだったかもしれませんし、そうじゃなかったかもしれません。


話を元に戻します。
議論を行う際、相手に勝つためには、自分の土俵で議論をするのが有利でしょう。
でも、そもそも無断リンク問題は勝ち負けを決めるものではないように思います。
とは言え、お互いの土俵(マナーと技術)で話し合うのは理想論で、現実的には難しいでしょう。
「リンク禁止なのはそれなりに理由があるんだ!その事を無視して勝手にリンクするのはマナー違反だ!」
無断リンク禁止?マナー?関係ないね!そもそもWWWはリンクで成り立ってるんだから!」
というのは私の頭の中の妄想ですが、恐らくこんな感じに平行線を辿っているのが現状ではないでしょうか。


議論のレイヤーが異っているなら、お互いに共通のレイヤーに移動して議論してみるのも良いかもしれません。
もし存在するなら「技術」と「マナー」の間のレイヤーか、或いは「マナー」より上位のレイヤーがいいでしょう。(「技術」より下位のレイヤーはコア過ぎるので話しづらいかな。)
この場合、議論の末に何らかの結論が出たときに元の自分のレイヤーに帰らないというルールが必要だと思います。
つまり、「確かに○○という結論には達したけど、でも「マナー(技術)」で考えると・・・」となってしまっては、結局振り出しに戻ることになります。
或いは、結果として振り出しに戻ることになっても、無断リンク問題に新たな知見が見出せたという点では無駄では無かった、とも考えられます。
問題は議論に相応しいレイヤーは何なのかということですけどね。う〜ん、難しい。。